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執筆者の写真甲南大学日本酒研究会

第1回 泉酒造テイスティング会


当研究会が発足してからあっという間に一年が過ぎ、少しずつではありますがやっとのことで本格的に活動を始めることができるようになりました。

しかし、先日コロナウイルスの第4波の影響もあり、三度緊急事態宣言が発令され、さらに延長するといった事態になりましたので、当面はオンラインでの活動になります。


今回は、発令前の4月9日に行った「蔵縛りテイスティング会」について投稿します。

この活動は、言葉の通りある一つの蔵元の日本酒に限定しテイスティングを行うというものです。基本的に、灘五郷もしくは兵庫県内の蔵元を中心に行い、「お酒を楽しむ」ことはもちろんですが、ここでは「味わうこと」に焦点を当てて交流します。


ーーこれによって、なんのメリットがあるのかーー


それは、この活動により「自身の好みの味」を他人に表現・伝達できるようになるという点です。

もちろんこれはソムリエのように専門的な知識や表現で、ということではなく、あくまで「一消費者として」のスキルです。


何事にも言えることですが、多くの人は「専門店」などの環境に関して行きづらさを感じていると思います。日本酒でいえば、これは「酒屋」になるわけです。


お酒好きの方々からすると疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、日本酒に興味のある多くの若者は「興味はあるが酒屋は行きづらい」「アパレルのセレクトショップ同様、店員の方に話しかけられるのがこわい」といった理由でお酒を買う場が限定されてしまっています。(個人的見解ですが。)


しかし、他の嗜好品に比べて日本酒は、比較的にお財布に優しく、平均1,000~1,500円程度で4号瓶を購入することができます。


これらを踏まえて、今回のテイスティング会を行うことで、自分が好む酒質や味(例:香りが華やかで、ほんのり甘い、など)を認識し、それを伝えることができれば酒屋に行くことへのハードルが少しでも下がるのではないかと考えたわけです。(他にもあるとは思いますが笑)


少々真面目な話になりましたが、このような考えから今後定期的にテイスティング会を行っていきます。



さて、それでは本題に入りましょう。

記念すべき第1回は、私山﨑が灘に来て一番感動した銘柄「仙介」を醸す泉酒造株式会社です。




灘五郷の御影郷(神戸市東灘区)に位置するこの酒造は、元々は1750年に兵庫県の有馬郡道場村で初代「泉仙介」によって開業しました。そして、1844年に三代目「仙介」が灘に移したのです。

しかし、1995年の阪神淡路大震災により蔵が倒壊消失し、1756年より続けてきた自家醸造を断念せざるを得ない状況に陥りました。多くの方々の協力を得て2007年より自家醸造を再開しました。


主な銘柄:「仙介」「琥泉」

酒米:山田錦、五百万石、フクノハナ、ヒノヒカリ

水:共同の井戸水(中硬水)

 →宮水はミネラル等が豊富な硬水であるため泉酒造の「吟醸造り」には不向き


3月頃に本社兼直売所を改装したとのことで、非常に美しい外観・内装となっていました。


今回購入した日本酒は全部で8銘柄(下写真右から)

・仙介 特別純米白麹無濾過生酒原酒

・仙介 特別本醸造原酒・一火

・仙介 純米吟醸おりがらみ無濾過生酒原酒

・琥泉 純米吟醸無濾過生酒原酒

・仙介 純米大吟醸無濾過生酒原酒

・琥泉 純米

・仙介 山廃純米

・仙介 特別純米

テイスティングに関しては、先程記述した通り専門的に細かく行わず、「味わう」ことと「表現する」ことを一消費者視点で行いました。


※また、全員細目にアルコール消毒を行い、グラスはプラカップを使用しました。


そして、1人2銘柄に投票しランキングを作成しました。



1位:仙介 純米大吟醸無濾過生酒原酒 (5票)

コメント「味の輪郭がくっきりとしていてわかりやすい美味さだった。後味がスッキリとしていて、お酒の後を引く感じがあまり好きではない私でも美味しく飲むことができた。なんとなく白ワインと似たものを感じ、お刺身はもちろん、お肉料理でも合いそうだと思った」


2位:仙介 特別純米白麹無濾過生酒原酒 (4票)

コメント「フルーティーで甘い感じなのに後に残らないところが好きだった」

    「独特な甘みが印象的で、ブルーチーズが合いそうな感じがした。」


3位:琥泉 純米吟醸無濾過生酒原酒 (3票)

コメント「フルーティーで甘みがあり、爽やかで重くなく飲みやすかった」


TOP3にはなんと今回購入した4種類の「無濾過生酒原酒」のうち3種類もランクインしました。


無濾過生酒原酒は、

・濾過をしていない→無濾過

・火入れ(加熱殺菌処理)をしていない→生酒

・加水していない→原酒

の3つの要素で構成されており、これらによって生まれる、出来立てのフルーティーさ、そしてどっしりとした深い味が特徴です。


近年では、「無濾過生酒原酒ブーム」も起こったほどで、多くの消費者が好む酒質であることが分かります。

当会メンバーもその飲みごたえに魅了されたのでしょう…!


残り4位~8位は以下の通りです。


4位:仙介 純米吟醸おりがらみ無濾過生酒原酒 (2票)

 ここにも「無濾過生酒原酒」です。これでTOP4を独占したことになりますね笑

 ちなみに、このおりがらみはTOP3には入らなかったものの、一番最初になくなりました。


5位:琥泉 純米 (1票)

 琥泉純米は、甘さとキレのバランスが良くテイスティング時の評価はよかったのですが、「無濾過生酒原酒」たちに味の印象を持っていかれてしまったようです。


5位:仙介 山廃純米 (1票)

 独特なコクと風味が特徴の複雑な味である山廃仕込みは、当会でも初めて飲むメンバーが多く、そして生酛造りの派生として興味を持っていました。


7位:仙介 特別本醸造原酒・一火 (0票)

 代表の私山﨑が最近推しているこのお酒、本醸造ならではの安定感と一回火入れのキレが特徴です。1人が投票する銘柄を3種にしておけばよかったと非常に悔やむ理由がここにあります。個人的にこのお酒は、燗につけることで変化が楽しめ、さらに美味しくいただけます。


7位:仙介 特別純米 (0票)

 実はこのテイスティング会の前に代表が個人的に購入し楽しんでいたお酒です。冷やさず常温もしくは燗でクイクイ飲めてしまうどっしりバランスの良いお酒です。テイスティング会の際、なぜ燗でこのお酒を飲まなかったのか、こちらも後悔しております。




この活動についてのブログ内容はこのように基本的に、私たちがおおよそどのように評価をしたか、そして簡単なランキング等の報告になります。

本当ならば、私たち「学生」が日本酒を囲み、どのように味わい、どのような意見を交換し合ったか詳細にお伝えしたいのですが、ここではこのような形で進めていきます。



また、一メンバーの感想です。

「同酒造で作られた色々な種類を一度に飲み比べる事はあまり無かったのでそれぞれの顔色や個性が違って面白く感じました。でも一本しっかり仙介や琥泉のどれでも仙介としての、琥泉としての筋が通ってる感じがしたので逆に個性ハッキリしていて、それでいて柔らかい感じのした、おりがらみとSHIROKOJIを選びました。

また、この2つはフルーティさの様なものが白ワインテイストで普段白に合わせる仏魚料理などとのマリアージュもして見たいなと思いました。」


また、しばらく停滞していた個人の日本酒エピソード等の投稿も今後再開していきますので、お楽しみに。






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