明けましておめでとうございます!甲南大学日本酒研究会の寺澤です。
年が明けて寒さが一層厳しくなって、コロナの心配も日を追うごとに増しています。
この日本酒研究会も中々活動出来ずにいます。
僕がこの研究会に参加し始めたのはコロナが一旦落ち着いた頃でした。寺澤がこの研究会に参加する様になった経緯を少し書きたいと思います。しばしお付き合いください。
「老せぬや、老せぬや。薬の名をも菊の水。盃も浮かみ出でゝ友に逢ふぞ嬉しきこの友に逢ふぞ嬉しき。」(謡曲『猩々』より)
タイトルにもあるこの文。お酒好きの方はもしかしたらみたことがあるかもしれません。たとえば、旅館などで出てくる飛騨コンロ(七輪)に。また日本酒の銘柄にも酒と縁の深い演目からつけられた名前が幾つかあります。奈良県北村酒造さんの「猩々」もその一つ。
この文は伝統芸能である能楽の謡の部分、簡単に言えば能の歌であり、台本でもあります。
猩々は中国の想像上の妖怪。真っ赤な頭に赤い衣装を纏います。大酒呑みそうな見た目!猩々はオラウータンの和名でもありますが別物です(笑)
夢の告に従い揚子江の邉に酒屋を構える、親孝行者の青年の元に、毎夜毎夜いくら飲んでも顔色は変わらない客人が。不思議に思い正体を聞くと海中に住んで酒を好む猩々と正体を明かし、ある晩友を大勢引き連れお礼に汲んでも減ることの無い酒壺を授ける話。青年はその後富貴の身となる御めでたい物語です。
そして私は家業として能楽を継承する能楽師の家に生まれました。日本酒研究会に属する寺澤は現在甲南大学に通いながら、この能楽師として跡を継ぐため修行を行っている真っ最中なのです!
先程の文にも見えた通り能楽の世界には「盃」「菊の酒」など様々な演目に「酒」にまつわる語がみられます。もちろんここでゆわれる「酒」は、今で言う「=日本酒」となります。中国の物語でも当時の日本人の感覚なので、、笑
能に限らず多くの日本文化は、お酒と切っても切れない縁の元に発展を遂げてきました。和歌と酒は曲水の宴と呼ばれ、神社などでは神に捧げられる御神酒に。
能も室町時代から祝い事の席や酒宴でも用いられ、将軍や大名の御前で催されてきました。そんな中で能楽は舞と酒一心同体の様に継承されてきました。
祝い事の席に祝酒!みたいな。
私は2歳からこの舞台に立っております。毎回の舞台の後には宴会や後席があり、師匠や先輩方にいろんなお酒や、飲み方を教わりました。楽しい雰囲気と場を生み出すお酒の席は私にとって大切だと感じさせるきっかけになりました。
そして日本酒研究会に参加するきっかけになったのは、岡田さんや代表の友輔さんに飲みに連れて頂いた時の事です。岡本のお寿司屋さんで日本酒について様々なお話をして頂きました。知らない銘柄のお酒や細かな作り方など。これまでは知識無く呑んでいたお酒でしたが、教えて頂いた作り手の思いなどに思いを馳せながら飲むと一層美味しく感じました。また好きなお酒を同じく好きな人と共に飲むこともいいものだと感じました。僕は日本酒だけで無く、ワインやウイスキーなどもオールマイティに好きです。今日本人の若者と呼ばれる人は日本酒離れの傾向だと友輔さんから聞きました。自身もそう思います。友達との飲み会などでも多々そう思う時があります。まずは日本酒をたくさん飲んで多くの種類を感じ「これなら飲める」と一緒に飲む人に言って欲しいと思います。それもあり新たな日本酒の飲み方を発見したいと思ったこともここに所属することの意味に感じています。
このコロナが収束し、猩々の様に沢山の友とみんなでワイワイお酒を酌み交わせる日が訪れることを心より願います。
余談ですが、、
最後に私が好きな銘柄を紹介します
静岡の磯自慢酒造さんから「磯自慢 純米吟醸 多田信男」
です!
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